ジョンソンRの徒然日記

よつばと!に癒しを求めるクソオタク供へ

「職場の人間関係や思惑は複雑でなにを優先基準と設けるべきか、まだまだ新人の君達はわからないだろう。
会社の中で3人、この人だけは裏切らない、信頼しようという人間を決めるんだ。3人でいい。シンプルだろ?」


ただのスケベじじいとしか思えないクソッタレの役員も、偶には考えさせられることを言うものだと感心した。

 

自分の中で定めた、その3人が職場から去っていった。


正確には、生意気にも候補が5人いて、その中の3人が職場を離れた。
なんの冗談だと苦笑を堪えきれなかった。苦笑という苦笑を人生で初めてした気がした。


僕の携わる業務には、人材派遣業界と、派遣される対象となる企業業界の2つの知識が必要となる。
かつて人材派遣の領域のみに重点を置いた経営の結果、一介の派遣事業主に過ぎないと成長を鈍化させた失策から、後者の業界を事業主と定めた。


いわゆる一流のヘルスケアメーカーの経験者。だがよく考えて欲しい。
本来、30代で年収1000万プレイヤーの将来が約束されたエリートコース側の存在だ。どうして好き好んで一介の派遣事業主如きになるというのだ。早い話がいわく付きなのだ。
そして我々の会社が選んだものは、どうしようもなく俗物だった。


彼は学歴にも恵まれず、ヘルスケア業界からも弾かれた人間だった。劣等感と自己顕示欲に蹂躙され、連なる権威性に支配された下賤な魂の持ち主だった。
彼が行なった行動は、事業制度の拡充と称した個人の帝国の完成に目的を据えた改革だ。
内外に自身の機嫌に触る要素を持つ陣営には徹底した。内部では暴力的なまでの人事権を行使し、外部には裁判を辞さない冷遇を取った。
過剰なまでの自己肯定の剣は、他者否定を容赦なく切り込むことに、一切の疑問も生み出さなかった。


彼自身の復讐なのだろう。学歴も、ヘルスケア業界も、自身が求めてやまないものから否定された人生を解放する手段なのだ。それは自身の首を締めていることに他ならないことには盲目さを許して。


3人はその犠牲となった。
圧倒的な物理的業務量と、現実と乖離した数値と理想に、それぞれ精神を疲弊させ、休職/退職せざるをえない状況に追い詰められた。


1人は部署内にて2番手のポストを飾り、1人はこの業界で20年以上の経験を持ち組織マネジメントを機能させた立役者であり、
1人は社内インフラの再整備のためのIT推進に尽力した人間だった。
彼らのデスクはいまや物置と変わり果てている。


彼らが本当に無価値な立ち振る舞いをしていたのであれば、珍しい話でもないだろう。しかし、形式的にも実質的にも彼らが中心となり支えていたのだから、数字の責任転嫁の役回りを演じなければならない下手な役者へ任命するのはお門違いだ。


なにより不可解なのが、この状況を許してしまう事業経営の怠慢だ。彼の傍若無人を上層部が許す要素は、利益を生み出していることだ。その為には情け容赦の犠牲を厭わない公認の判を押しているのだ。事業部内の人員が1年も経たずに2/3になった現状からも目を背けて。それが彼を助長させている。


「自分の義務と権利を秤にかけて権利に先に錘を乗せなくば、社会の規則に従いしも自身を失う事無し。」
この言葉は、不気味さを孕む真理だと考えていた。しかし、互いが互いに同様にこの概念を共有した時に初めて機能するものだと、今は空虚な嘆きの言葉に思える。


自分も3人の背中を追うことになるだろう。それが自発的であれ、他発的であれ、遠からず。
ただ、そんな世界に未練を残す事程馬鹿げた話もないだろう。